プラスチック射出成型での不良品とは?
ものづくりを行っているメーカーとして夢にまで見る「不良品ゼロ」。作ったものが全て良品で綺麗にパッケージもされてそのままお客様のところに届いたらどんなにいいでしょう。けれども、現実はそう甘くありません。というよりも、むしろそうした幻想を捨てて、ダメなものはダメと不良品を取り除くプロセスこそが安心して使える製品を送り出す秘訣だったりします。「これぐらい良品でいいか」という良品への希求が良くない結果に繋がり、逆にどんどん不良を出して弾く方が結果的に製品の品質を高く維持することに繋がるというのは皮肉なものですね。ところで皆さんはチップなどが作られる場で出る不良がどんな物かご存知でしょうか?
今回は、プラスチックの射出成形にて出される不良品とはいったいどのようなものなのか、代表的なものをご紹介できればと思います。
ショートショット
まず、弊社の製品は射出成型にて製造しており、簡単に説明すると金型に、溶かした樹脂を流し入れて成形します。イメージとしてはチョコレートを型に流しいれるようなものです。
例えば猫型の容器にチョコを流し入れたとして、冷やしていざ型から取り外した時「耳が片方短い!ちゃんと型の端までチョコが行きわたっていなかったのかなぁ…」という状況は想像できますか?
ショートショットとはまさにそれです。
原因について今回は割愛しますが、何かしらの理由により金型に最後まで樹脂が入りきらず少し短く成形される場合があります。
それがたとえ1mmに満たないものでも弊社では不良品となるので、検査の元はじいています。
黒点
写真を見てチップにごみが付いているって思いませんか?実はこれ付いているのではなく、中に練りこまれていて取れないものとなっています。
ごみが一緒に入っているなんてと思われるかもしれませんが、実はこれ焦げた樹脂なんです。
例えば焼肉屋さんに行ったとして、何回も同じ網で焼いているとどうしても網が焦げてしまいますよね。そしてその焦げがお肉に付いちゃったってことはありませんか?
これが黒点のイメージです。
弊社の製品は毎日毎日成形しているので、どうしても金型や機械に樹脂が少量残ってしまいそれが焦げてしまうことがあります。
もちろんメンテナンスは定期的に行ってはいるのですが、たまに焦げた樹脂が製品に練りこまれてしまうことがあるのです。これが「黒点」と呼ばれる不良になります。
ボイド
この写真を見てください。中に泡が入っているって思いませんか。
成形した際に空洞ができ、このような製品が出来上がる場合があります。
ハーバリウムやスノードームなどの置物なら水中みたいになっておしゃれかもしれませんが、弊社で作っているのは実験道具。
このような気泡みたいなものがあっては観察しづらく邪魔です。
よって弊社ではこのような製品ははじいています。
バリ
屋台のベビーカステラを想像してください。
基本は丸い形をしているものですが、よく見ると周りにカリカリになった、ひらひらとした生地が付いているのがイメージできますか?生地が型をはみ出して焼き上がったからできた部分、これが「バリ」です。
プラスチック製品も樹脂を入れた際に金型の隙間にはみ出てしまい、そのまま成形されることがあります。
実は良品もはじかれている
色々と不良品の紹介をしてきましたが、弊社では良品のみお客様の元へお届けできるよう生産時に抜き取り検査を行い、上記のような製品をはじいています。
ですがその際に、同じライン、同じ時間帯に成形された物すべてを検査基準から外れた製品として扱うので、たとえ不良品が全体数の5%ほどしかなくても、残り95%の良品も一緒にまとめて不良品扱いとなり処分されます。
資源の無駄を減らす取り組み
近年、社会のさまざまなところで資源を無駄にしないための取り組みが広がっています。弊社としても無駄となる資源を減らす取り組みに協力すべく、現在廃棄されている不良品にアプローチしていくこととなりました。その取り組みの一つが「アウトレット」制度です。
掲載してある物の例を挙げますと「チップの先端が0.5mm短いもの(ショートショット)が一袋の内3%混入しています」や「吸引が通常品より2秒ほど遅いフィルターチップ」などの商品が通常品と比べると安価で販売されていますので、気になった人はぜひアウトレットページをご覧ください。
いかがでしたか?
なぜ、どのようなことが原因でこのような不良が出てしまうのか?などの詳しい話はまた別の機会に紹介できればと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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